『若恋』若恋編
最期に深く深く息をして、身体中の空気を吐き出して静かになったのを俺は一生忘れない。
目の前で為す術もなく命が散っていくことだってあるんだって心に刻む。
「丸眼鏡、さん…ありが、とう」
シン
りおが泣き、誰もが声をなくしてた。
俺を、りおの妹を助けだせたのは丸井がいてくれたからだ…
丸井がいなかったらきっと助け出せなかった。
すまない。
ありがとう。
何度礼を言っても足りない。
りおが握っていた手を丸井の胸の上に静かに置いた。
「毅、…医者を呼べ」
「はい」
毅も目が少し赤かった。
「りお」
「うん、ひっく」
泣きじゃくるりおの手を血だらけの手で握った。
「どんなことがあっても、お前は俺のことを好きでいてくれるか?」
「うん」
「なにがあっても俺のことを嫌いだなんて言わないでいてくれるか?」
「うん、」