『若恋』若恋編
―――俺に言えないこと
まさか。
いや、身に覚えはある。
丸井の弔い合戦をしたあの日にめちゃめちゃにりおを抱いた。
あれからくるはずの月のものはない。
―――まさか。
あの夜の―――
「若、どうかしましたか?」
「……いや」
りおの微妙な変化は単なる俺の思い過ごしかもしれない。
「りお、もうすぐ飛ぶぞ」
「はーい」
顔色が戻ったりおが戻ってきて何もなかったように笑い仁の言葉に頷いた。
「顔色が良くねえが具合悪いか?」
「え、何も悪くないよ」
ぴくっ
明らかに動揺してるのを隠してる。目が俺を見ない。
「そうか、わかった。悪くないならいい」