『若恋』若恋編
「……わたしは大神さんとりおが出した結論にどうこう言うつもりもありません。
あの子が笑顔でいられたらそれでいいと、そう思っています」
信用してりおを預けてくれた両親を裏切るかたちになってしまったのに、怒りもせず穏やかに話す。
「わたしは娘りおが笑顔でいられるならそれで幸せなんです」
こじんまりとした家。
家族四人がお互いの声を聞き、時には喧嘩しながら笑い暮らしてきた家だ。
古い柱には家族の成長が刻まれてあった。
「……あの柱についてる水色の線がりおの背丈です。……あんなに小さかったりおが、」
「………」
「……子供の成長は早いもんですね」
まるで泣いているような声だった。
俺が何をしにきたのかわかっている。
「俺はりおを抱いたのも、子ができたのも後悔してない。今日はりおを貰い受けにきた」