『若恋』若恋編
三枚の写真
「りお?」
食事を作っていたりおの姿が一瞬で消えた。
もしかしたら、と。
思い当たるところに行くと、下を向き苦しげに息を吐いていた。
―――りお
「う、」
その背を撫でてやりたかったが我慢しりおの様子を見守る。
「……あか、ちゃんが、」
りおが震える両手で下腹を包む。
「……病院、行かなくちゃ」
そう呟いたりおからそっと離れて、何事もなかったかのようにソファーに座り雑誌を広げた。
つわりらしきものでりおが苦しんでいたのを見たのは(正確には見たわけとは違うが)三回目だ。
りおの腹の中には俺のガキがいるかもしれない。
そう思うと、自然と頬が緩んだ。
「りお、こっちに来い」
戻ってきたりおを招き寄せてその頬にキスをした。
「奏さん、あのね」
りおが切り出してくるのをドキドキしながら待った。