『若恋』若恋編
潤んだ瞳がじっと俺をみつめる。
「りおの両親からはこれを書いてもらってきた」
「?」
胸のポケットからスッと抜き出しりおの手に握らせる。
「?」
封筒。
その中の紙を開くことに戸惑ったりおが顔を上げた。
「開けてみろ」
りおが震える手で封筒から薄い紙を抜き出した。
カサッ
『婚姻届』
開いて驚いているりおの顔が歪んで泣き顔に変わった。
「―――これ」
「俺の欄はすでに埋めてある。おまえの両親にも書いてもらってきた」