『若恋』若恋編
「りお、おまえは部屋に戻れ」
「……どうして」
「危ないことにはおまえを巻き込みたくねえ。部屋に戻ってろ」
「奏さん」
「挨拶が済んだら部屋に戻って一歩も出るな。いいな」
「やだ、」
「聞き分けろ」
「だって。奏さんの命を狙うひとをわかるのは、わたしと仁お兄ちゃんだけなのよ」
「なに?」
眉を上げた。
「姿を見たわけじゃないけど、声はわかるもの」
「ああ、そうだ」
「声を聞けばわかるわ」
りおの瞳が強い意思を秘めて俺を見た。