『若恋』若恋編
「危険すぎる」
「でも、ふたりを」
「……りおでなくても俺が話せばいい」
「奏さんは狙われてるんだよ!?」
「そんなのはわかってる。とにかくりおを出すわけにはいかねえ」
「わたしじゃないとダメなの」
「駄目だ。おまえを危ない目にあわせたくない」
「お願い、奏さん」
「何度言っても駄目だ」
きっぱりと撥ね付けた俺にりおの顔つきが変わった。
「わたしじゃないとだめなの!」
りおの芯からの声に空気が震えた。
目を見開きそしてゆっくり閉じた。
りおの体を引き寄せ力一杯抱き締める。
「…奏さん?」
「………」
「…奏さん?」
「………」
「ねぇ、奏さんってば」
りおが腕の中から声をあげた。
「………おまえはいつも俺を驚かせる」