『若恋』若恋編
弾かれたように立ち上がった女をりおがじっと見上げる。
みるみるうちに顔色が悪くなるふたり。
『…聞いたってナニヲ?』
震える声で答え、りおを射殺すような眼差しを向ける。
『わたしは…レディースルームで桐花さんと桃花さんの話してるのを偶然聞いてしまいました』
ピクッ
女の指先が動く。
『今なら引き返せます。』
ピクッ。
『今なら引き返せるんです。桐花さんも桃花さんも』
静かに告げるりおの横に立ち上がった女。
赤いチャイナドレス衣装の裾を捲り、太ももから取り出した銃を悠然とりおのこめかみに構えた。
「奏!!」
てめえ、りおを見殺しにする気か!!
「違うっ!!」
『知られたカラには生かしてはおけないわ』
カチャ
安全装置を外して銃口の先をりおに突きつけた。
「奏っ!!」