『若恋』若恋編


銃を拾おうする狩野の指が俺の靴に踏みつけられギリギリと音を立てた。


「その銃はおまえのだな?」

「……ち、違う」

痛っ!

踏んでる足を退かせようと抗う。


「俺は気が短いから素直に白状したほうがいいぞ」


笑うと狩野が下から恨めしげに見上げ、懐から閃くものを繰り出した。


「おっと」

刹那、かわし反転して狩野の手にした得物を蹴り上げる。

得物は宙を切り裂き狩野の顔面横にと突き刺さった。


「もう観念したほうがいいですよ」

「じっとしてた方が身のためだぜ」


ため息を深く吐き出した榊と仁の前に狩野が唇を噛んだ。


「りお、ふたりを連れて毅と前広と部屋へ行け」

しばらく部屋から一歩も出るな。
見なくていいものは見ない方がいい。



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