『若恋』若恋編
ひとしきり泣いて目を擦った後に、さりげなく榊をテラスに呼んでお茶にしようと誘った。
まだ目が赤いりおが榊の好きなアールグレイを入れ、榊がりおの入れたカップを大事そうに持つと相好を崩した。
「ありがとうございますりおさん。美味しいです」
「よかった。榊さんが喜んでくれて」
少し疲れたように笑った後、
「ひかるが最近元気がないの。榊さんと会えないし話ができないって……」
どうしてなのかなーって思って。
そう切り出したりおの表情は曇っていた。
榊が静かにカップを置いて深呼吸したのが見えた。