『若恋』若恋編




横抱きしたまま屋敷の二階へ。

エレベーターで二階へあがり指紋認証に指を翳すとロックが外れた。



「今日からここに住むことになる。奥の部屋がりおの部屋だ。ひとつ言っておくが、二階へは家族以外誰もあげないでほしい」

「はい」


奥の部屋にりおの必要なものをすべて用意してある。

ベッドへ下ろすとりおが言った。


「お、大神さん。ありがとう」

「りお」

「はい」

「俺のことは名前で呼べ。大神さんて呼ばれるのは体が痒くなる」


「……大神さんの名前?」

「そう。奏でると書いて奏」

「……奏さん?」

「それでいい」


……奏さん

復唱する薄いくちびる。



「下には榊や仁たちが住んでる。俺がいない間に何かあったら電話しろ」


「電話?」


ポケットからグリーンの携帯を取り出してりおの膝に置いた。


< 77 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop