『若恋』若恋編
「どういうこと?」
「…りおが俺の女だって思われたんだ」
「で、狙われてるわけ?」
「そうだ」
「……うそ。わたしただの女子高校生で、偶然、奏さんと会っただけで」
「周りはそう見ないだろうな。りおが俺を庇ったのは俺の女だからと思われてる」
目を泳がせて戸惑いりおの声が掠れた。
「俺はりおに命を救われてる。りおがいなかったら俺は死んでた。命の恩人のおまえを危険な目にあわせるわけにはいかねえし送迎にも気を抜きたくねえ」
「………」
「………」
ふたりが息を飲んだ。
「……そっか」
青年が横目で見る。
そういうことか。
会って一瞬でお互いにお互いの気持ちを知る。