『若恋』若恋編
「……奏さん。そんな心配いらないよ」
わたしを狙う物好きなんていないから。いたとしてもすぐに誤解が解けるよ。
素敵な奏さんと冴えないわたしとじゃ釣り合わないし。
「…すぐに誤解が解けるよ」
「りお」
「ん?」
その柔らかなくちびるがおまえが俺の女でないと否定する。
「りお、俺が大事に思ってんのはな」
「若、」
それ以上言わせない圧力が榊から掛けられる。
「………」
りおのくりくりした瞳を覗きこむ。
「来週から学校行けるようにしておく。送迎はできる限り俺がする」
―――りお。
おまえの心の中には誰がいる?