鮮やかに青いままで
第1章:春の終わりに

赤く染まる帰り道にて、彼女と。

「……へえー…」


写真週刊誌の特集ページ、その名も“今やスタジオは合コン会場?!若手芸人とアイドルのアブナい関係”に載っているカップルを一通り眺め回した後、一人で溜め息をつく。

よくもまあこんなにも調べあげたものだという感心の溜め息だ。
それぞれのカップルに一々入籍予定日なるものが定められているのだから凄い。
ジェームスボンドやシャーロックホームズをもってしても、まだ結婚する気があるかどうかすら分からないカップルが籍を入れる日を言い当てるのは難しいだろうに。ああ、ノストラダムスくらいになると可能かな。まあこんなことより今年の日本ダービーの勝ち馬を
予言するほうが余程金になると思うのだが。


…というか俺がここに載っている芸人の立場なら、悔しいので何となく籍入れる日ずらすけどなあ。第一…





「よっ」



アイドルと入籍間近な芸人になりきって、要らぬ心配事を頭の中で巡らせていた俺をただ本屋で立ち読みをしている一介の高校生に引き戻したのは、クラスメイトの植本綾桧(うえもとあやひ)がかけた声…





と、参考書での一撃だった。
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