鮮やかに青いままで
「しっかし今年の巨人はどうしたもんかね」


授業前のマラソン中、俺の横から話しかけてくる利紀。

こいつは小中高とずっと野球部で、本当に野球の話しかしない。
良く言えば野球バカ、悪く言っても野球バカ。それ以上でもそれ以下でもない。


「リリーフがこんなにしっかりしてる巨人なんて見たくなかったよ」



かく言う俺も中学までは野球部で、こいつに負けず劣らず野球のことしか頭になかったのだが。




「あー、そういや聞いた?」


少しギアを上げながら、今度は俺から話しかける。


「綾桧が彼氏と別れたってさ」




「へ?!」


あからさまに驚き、何もないところでつまづく利紀。
だがすぐにだだだっとダッシュしてこちらに追い付く。


「マジで?!いつ?!」


興奮気味…というより興奮状態そのものなテンションでまくし立てる利紀。
マラソン中でただでさえ息が上がっているというのに、こんな早口で喋れるのは尊敬に値する…が、こちらとしては面倒くさい。
俺はお前ほど体力無いんだよ。





俺はラストスパートとばかりに目一杯腕を振り、更にペースを上げた。



「あ、待てこらあぁぁー!!」
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