鮮やかに青いままで
「なあ、植本どんな感じだった?やっぱ落ち込んでたか?」


クラスの全員がマラソンから帰って来るまでは、二人一組でパス練習をするのが俵田のサッカーの授業である。


「いんや、落ち込んでたって感じじゃなかったなあ。結構前に別れてたらしいし。てかそういう情報流れて来なかった?」


利紀が一度ボールを足元に止める。




「植本が別れたっていう?」


「…うん」


「全っ然。クラスも違うし、1日一回すれ違うかどうかなのに。
つかお前が昨日聞いたのに、他の連中に漏らしてるわけないだろ」



「どういう…」



「てめえは羨ましいやっちゃなって意味だよ」


リフティングの要領で足元のボールを浮かせる利紀。




「ああ畜生羨まし過ぎんだよ馬鹿野郎がぁ!!」


利紀が渾身の力を込めて放ったボレーキックが、俺の遥か頭上を越えていく。






「……広太郎早く取って来『お前が取って来いやあ!!』


俵田のボール攻撃と俺の飛び蹴りがほぼ同時に利紀を捉えた。
< 16 / 41 >

この作品をシェア

pagetop