鮮やかに青いままで
雨に濡れた土の臭いを含んだ、妙に生暖かい風が頬を舐める。






俺はずっと黙っていた。

傘の取っ手を隔てて、俺の横を歩いている綾桧も。







綾桧は今何を考えているのだろう。

そのことだけを考えていた。






彼女が口を開くことを恐れながら。
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