鮮やかに青いままで
「こーたろー」


「ん?」


本屋からの帰り道、赤く染まった夕焼けに少しまぶたを細めながら振り返る。


「紅葉だこが食べたい」

綾桧の視線の先には、俺達がよく通うたこ焼き屋があった。
紅葉だこというのはそこの名物メニューで、たこ焼きに紅葉おろしをのせて頂くというものだ。



そして、植本綾桧の大好物でもある。


「…どうぞご勝手に」


「じゃ勝手に買うから、そこに座って待ってて」


そう言うとたたっと走って行ってしまう。ふいに巻き起こった風が彼女のセミロングの髪と制服のスカートを揺らす。

同時に、地面に散っていた桜の花びらも少しだけ舞い上がった。






…本当に、少しだけ。
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