鮮やかに青いままで
「昨日の夜ね、利君からメール来た」


綾桧は利紀のことを利君と呼ぶ。まあ別にどう呼ぼうと勝手なのだが、160cmあるかないかの綾桧が190cm近い利紀を君付けで呼ぶのは多少違和感がある。


「今日練習後会えないかって」


「…大事な話があるんだって」


綾桧がどんなことを喋ろうと、俺の心は決まっている。


「あたしさ、なーんとなく分かっちゃうんだよね。…これは告白される」


この台詞だけ聞くとただの自意識過剰女だが、幸か不幸か俺はその予感が正しいことを知っている。
まあ、利紀が綾桧に好意を抱いていることは彼女(というか2人と面識のある奴なら皆)も気付いているし。






「だからね」


綾桧は空を見上げた。
雨上がりの空に浮かぶ朝日は、早くも地面の水分を空に引き戻している。



「今日がラストチャンスだと思うの」
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