鮮やかに青いままで
「すっごく勝手な考えってことは分かってる。でもあたし、利君を悲しませたくないの」


綾桧は、俺が全て了解済みであることを前提に話し続ける。


「やっぱさ、ずっと自分を好きでいてくれるって嬉しいのよ。そういう気持ちってすごく貴重だし、大事にしたいの。…だから、中途半端な気持ちで利君と付き合うのも、中途半端な気持ちで振っちゃうのも嫌」


「だから、ここで言うよ」







「あたしが一番好きなのは…」




その時の綾桧は、俺の方を見ていなかった。ただ前だけを見据え、震えそうになる唇を必死に落ち着かせている。

恐らくはずっと心に秘めておいた想い。
心の奥底に閉まっておいて、溢れ出ないように蓋をしておいた想い。








「広太郎。…あたし、広太郎が好き」





丁度、一昨日休んだ公園が目に入った。地面を桜色に染めていた花びらは、綾桧が言った通り雨に打たれて土にまみれてしまっている。
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