鮮やかに青いままで
自分でも何を考えていたのかは分からない。
ただその時は、再び泣き出しそうになっていた綾桧を見ていられなくて。



ぐっと綾桧の手を引いて。


気がついたら、抱き寄せていた。


頭の後ろ側に手を回すと、妙に熱かった。


もう一方の手で背中を抱き寄せてやろうとすると、その手をがしっと掴まれ、残ったほうの手で思いっきり突き飛ばされた。結構本気で突き飛ばされたようで、思わず一歩後ずさる。


「…それが」


綾桧は泣きながら怒っていた。


「それが駄目だっつってんのよこの甲斐性無し!一回振っといて何調子こいてんの!?バッカじゃない?あーもうほんとやってらんないわカス!グズ!間抜け!アホ!甲斐性無し!」


あらん限りの罵詈を並べ立てて一息に俺を罵る綾桧。気のせいか甲斐性無しという単語が2回登場したような気がしたがきっと気のせいだ。


「…あたし、先行くね。…もう学校とかでもあんまり話しかけないようにするから。ごめんね、迷惑かけて」
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