鮮やかに青いままで
そう言うと、綾桧はきっと向き直って早足で歩き去ってしまった。


俺は何を考えていたのか、はたまた何も考えていなかったのか、しばらくその場に突っ立っていた。


道行く人から浴びせられる不審者を見るような視線で我に帰った俺は、頭を掻きながらゆっくり歩き出す。





やはり男と女の間に友情など存在し得ないのだ。
一度恋情に変わりかけたものをまた友情に戻すことなど出来ないのだ。






そんな、世界中の歌手が散々歌ったようなことを今更痛感しながら、桜の木の横を通り過ぎる。
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