鮮やかに青いままで
「お姉さん、ろくに勉強もしない広太郎の将来が心配なのです」


「…あほたれ。そういうことは俺に試験の点数で勝ってから言え」



俺が要領いいのか、それとも綾桧が悪いのかは分からないが、俺はテストの点数で綾桧に劣ったことは無かった。
それでも、去年の末あたりからこつこつ勉強し始めた綾桧の成績は徐々に伸びだし、今や俺を抜く勢いだ。
恐らく次の試験では、答案片手に俺の目の前でほくそ笑む綾桧の姿が見られるだろう。



「じゃさじゃさ、次の中間テストあたしが勝ったら一つお願い聞いてくれる?」


「なんでそういう流れになるかね…。ま別にいいけどさ」


「やりっ!」


綾桧が両の拳を握ってガッツポーズををつくる。もう勝った気でいやがるのかこの女は。


「そのかわり俺が勝ったら…」


そこで言葉を止めた。


「なに?」


「いや、うーん……あー、ジュースでいいよ。俺が勝ったらジュースおごりで」


「え~なにその適当な感じ。強者の余裕?!
言っとくけどあたし勝つかんね?」


更に意気込む綾桧。



まあいいや。

たまにはこいつの頼み一つくらい聞いてやるか。


俺の頭にはそんな呑気な考えしかなかった。
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