先生、待ってて
先生が、右手を差しだし催促するように手を動かす。
「あ、」
私は、かばんをあさって紫色のノートを取り出した。
「梨乃ちゃん、理科の宿題も忘れてたの!?」
友達の大窪 琉花(おおくぼ るか)が驚いた様子で言う。
「うん、ちょっとね…」
「月ヶ瀬さん、最近よく宿題忘れるよね。
なんかあったの?」
「いえ、別に」
「なら、ちゃんと持ってきてね。
困ったことがあったら、俺に相談しなよ」
「はい」
先生は、ニッコリ笑って教室へと向かった。
「梨乃ちゃん、理・社もとってるから大変じゃない?」
「全然、
だけど、宿題はね…」
宿題をずっと忘れてる理由は、忙しいとか、そんなんじゃない。
先生としゃべる機会を増やしたいだけ…
先生としゃべってると、なんか落ち着く。
「あ゛、もう40分だ
行かなきゃ。
梨乃ちゃん、ばいばい!」
「うん」
琉花は、賢いからsクラスの授業。
sクラスは今日、数学だっけな…
いいな、水川先生の授業。
「月ヶ瀬さーん、授業やるよ」
「あ、はい」
教室の中から、田中先生に呼ばれる。
田中先生は、この塾の唯一の女の先生。
文系担当の先生で、けっこう厳しい先生。
今日は、社会の授業。
あー、やだな。
「月ヶ瀬さん、宿題は?」
「わ、忘れました…」
「…残って自習室でやってってね」
「はい」
田中先生、しゃべり方は優しいけど顔が怒ってます!!!
「じゃ、復習テストするよー。
机の上は筆記用具だけね」
「月ヶ瀬、また宿題忘れたのかよ」
「悪い?
ってか、大塚も忘れたんでしょ」
「まぁな笑」
隣の席の男子、大塚もからかってくる。
この男子は、どことなく水川先生に似ている。
どこだろ、なんか似てる。
そんなことを考えているうちに、テストが回ってくる。
「はい、はじめ!!!
7:30までね」
田中先生は、ホワイトボードに〜7:30と走り書きでかくと、教室を出ていく。

わ、わかんない…

公民、前回の授業休んだからなぁー…、全くわからないや。

とりあえず、わかるとこだけ適当に埋めると裏にいく。
ははっ、なにこの問題たち…
わっかんない…

選択問題は、勘で…
記述は…もう知らない笑

とかなんとか考えてるうちに、時間はくる。
いつのまにか、田中先生もいた。
「はい、隣の人と交換して」
大塚と交換か…。

って、え゛。
「月ヶ瀬、なにこれ。
真っ白じゃん!!!」
大塚は、全部埋めていた。
マジか。

お前、かしこっ!!!

答え合わせをし、点数をかく。
いや、マジか…
大塚、満点じゃん…

私は、……5点…?
「ぷっ、月ヶ瀬…だっさ!!!」
「うそっ!?
大塚って、そんな賢かったっけ??」
「俺は、やればできるんだよー」
「なにそれ……笑」
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