純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「髪もちゃんと乾かさないと、風邪を引く」


 頭の中で色々と考えている間に、桐生さんは小さなタオルを私の頭の上に被せると、私に背を向けて洗面所をあとにした。

 足の力が抜けて、その場にぺたんとしゃがみ込む。

 ……不思議だった。桐生さんに下着姿を見られて恥ずかしかったし、嫌だったのに……桐生さんの無反応のという対応のおかげか、嫌悪感はそこまで大きくない。

 というか……あそこまで無反応でいられると、逆に私に魅力がないんじゃないかとショックを受け……──受けない、受けないっ!

 犯罪者相手に魅力がないって思われるからショックを受けるとか、普通はありえないですからっ!冷静になれ、私!

 また桐生さんが入って来るかもしれないから、私は慌てて服を着た。髪をタオルで拭き、ドライヤーで乾かす。櫛で仕上げをして、私は洗面所を出た。


「……桐生さん?」

「あがったのか? なら、おいで」


 優しくベッドをぽんぽんと叩くのを見るからして、鉄枷をつけるから傍においでっていうことかな……。

 抵抗したところで体力の無駄なので、私は素直に従う。けれど、さっきの一連の流れのせいで、桐生さんの顔はまともには見ることが出来ない。
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