純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「顔が赤い……。もしかして、熱でもあるんじゃないか?」


 湯気の出ているマグカップを机の上に置いた桐生さんは、そっと私に近付いてきて……その姿が、夢の中の桐生さんと、重なる。


「い、いやぁっ!」

「……っ」


 刹那、私の額に伸ばしてきていた桐生さんの右手を、反射的に払いのけてしまう。


「あ……す、すみませんっ」

「いや……俺の方こそ、すまない」


 今のは、完全に私の方が悪い。

 桐生さんは心配して、私に熱があるのかを確認しにきただけなのに……夢の中の桐生さんと重なって怖かったからって、その好意を踏みにじったのは私なのだから。


「いいえっ、今のは……桐生さんは悪くないです。すみません……」


 私が払いのけてしまった桐生さんの右手、大丈夫かな……。赤くなってしまっていたり、しないかな……。


「……篠原さんが謝る必要はない」

「でも……っ!」

「篠原さんは、俺のことを気にしたり、気にかける必要なんてないんだ」


 え……?急にそんなことを言われても、困るよ。いくら桐生さんが犯罪者だからって、怪我をしたら気にする。ましてや、私がつけたかもしれない傷なんだから……尚更、気にするし、気にかけるよ。
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