純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「これ……は……」


 言葉が何も出なかった。気持ち悪いとか、そういうのではなくて……ただただ、衝撃だった。


「……すまない。やはり見せるべきものではなかった。忘れてくれ」


 私から視線を反らした桐生さんは、解けた包帯を巻き直していく。


「ち、違うんですっ」

「……?」

「気を害したとか、そういうわけでじゃなくて。ただ、ちょっとビックリしただけっていうか……」


 どうして左目がそんなことになってしまっているのかは気になるけれど……きっと、聞いちゃいけないことなんだろうな。


「……無理に言う必要はない」

「無理に言っているわけじゃ……!」

「……分かった。もう、何も言わなくていい」

「……」


 私が気を害したって、思っているの?それだけは絶対に違うのに。ただ、本当にちょっとだけビックリしただけなのに……。

 どうしたら、何を言ったら、私の気持ちは桐生さんに届くのだろう……?

 でも、なんにせよ、桐生さんは左目のことに触れてほしくないみたいだし、無理に聞き出すのはよくないよね。この話はいったん置いておいた方がいいのかな。
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