純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

「……大丈夫か？」

「え？　何がですか？」

「さっき、男どもに触れられていただろう？」

「あ……」


　もしかして、心配……してくれているの？

　私は男性たちに掴まれた手首に、そっと目をやるけれど、特に赤くなったりはしていないみたいだ。


「大丈夫みたいです」

「……それもあるが、そうじゃない。……怖かっただろう？」

「！」


　桐生さんにそう聞かれて、私の頭の中にさっきまでの光景が過ぎる。

　怖かった？……うん、怖かった。とても。知らない男性たちに連れ去られてしまうかもしれない、周りの人にも被害が及ぶかもしれない、そして何よりも……。

　桐生さんが傷付いてしまったらどうしよう、桐生さんが死んでしまったらどうしよう……って。

　どうして桐生さんが傷付いたり、死ぬのが怖い……嫌だと思うのかは分からない。でも、その気持ちに嘘はない。あの時は確かに、私はそう思ったんだ。

　桐生さんが傷付いたり、死んでしまうなんていうことを考えたら……自然と涙が溢れ出てきた。そんな私を見て、桐生さんは苦しそうな表情を浮かべる。


「怖い思いをさせて、すまなかった。もう、大丈夫だ。大丈夫だから……」


　そう言って、私の涙を掬ってくれる指に、優しさとぬくもりを感じる。