純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「怖かった、です……っ」

「……うん」

「私のせいで……」

「……うん」

「桐生さんがっ……傷付いたらって、思うと……!」

「!」


 ──ピタッ。

 私が流す涙を掬う桐生さんの手が、とまる。

 変なことを言ってしまっただろうか?と、おそるおそる桐生さんの顔を見上げると……桐生さんは、目を見開いて固まっていた。


「桐生……さん?」

「……君は、」

「?」

「俺のために……泣いてくれているのか」


 信じられないと言わんばかりの口調で、桐生さんは言う。

 私だって信じられないよ。私をこんな目に遭わせた桐生さんを……理由は分からないけれど、失いたくはないと思っているのだから。


「桐生さん……」

「……この話はやめにしよう。……頼むから、期待させないでくれ」


 自分の左目を押さえながら、苦しそうに吐き捨てる桐生さんに、私はかける言葉が見付からない。

 違うの。桐生さんを苦しめたいわけじゃないの。そんな……つらそうな顔を見るために言ったんじゃ……ないのに……。

 どうしてこうも、うまくいかないのだろう?


「……私、先にベッドの上にいっていますね」


 1人にした方がいいだろうか、そっとしておいた方がいいだろうか……そう考えて立ち上がろうとした瞬間、私は桐生さんに腕を掴まれ、そのまま引き寄せられた。
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