純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

　──「何故なんだ……！何故……！何故……何故っ！君は……幸せになるって、言っていたじゃないかぁぁぁあっ！」


「春香は……何者かに殺されてしまった。刃物で……心臓部を刺されて……」


　桐生さんは自分の髪をくしゃりと掴むようにして、悲しそうな表情を浮かべた。


「俺のもとから去る春香を、無理にでも行かせないようにしていれば……きつく、縛っておけば……守ってやれれば……春香は！死なずに済んだのかもしれないのに……！」

「……っ！」


　桐生さんには……桐生さんの過去には、そんなことがあっただなんて。春香さんは……もうこの世にいないだなんて。

　マスターや司さんが、“ハルカ”の名前を聴いて驚いていた理由がよく分かった。春香さんと同じ名前だから、驚いたんだよね。


「桐生さん……」


　でも、私は……どんな言葉を桐生さんに投げ掛けたらいいのか、分からなかった。悲しそうに歪める桐生さんの表情を、ただただ見つめることしか出来ない。

　──不意に、そんな桐生さんに、私は……。


「泣いても……いいんですよ」

「……っ？！」


　自分でもどうしてこんなことを言ったのかは分からない。けれど、私の口はとまってはくれない。