純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「おお……ありがとうございます、お客様」


 マスターは礼儀正しく、頭をペコリと下げる。俺は迷うことなく、包帯を巻いた男性の近くの席に腰掛けた。


「また、会いましたね」


 左目に包帯を巻いた男性は、ゆっくりとこちらを振り向いた。


「……ああ、この前の……。……いらっしゃいませ」


 左目に包帯を巻いた男性は、ペコリと頭を下げた。

 女性もののブランドを扱う店の前で出会ってから、何も変わらない容姿や雰囲気に、何故かは分からないがホッとした自分がいた。

 とにかく、左目に包帯を巻いた男性は、俺のことを覚えていてくれたようだ。


「アンタ……ここで働いていたんッスね?」

「……ああ」

「あの、アンタがよければ話でもしませんか?俺、この前会った時からアンタに惹かれる何かを感じていて……」

「……失礼ですが、お客様。俺は今仕事中ですし、お客様と話すようなことは何も……」


 左目に包帯を巻いた男性は、静かに目を伏せた。すると、カウンターのところにいるマスターが、笑いながら声をかけてきた。


「桐生くん!どうやら君達は知り合いみたいだし、少しくらい話してもいいよ。他にお客様はいないんだし」

「しかし……!」

「ちゃんと給料は払うし、せっかく話し掛けてくれているのに無視をしたら悪いだろう?」
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