純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「……それで?」

「え?」

「話ってなんだ? ……俺には、お前に話すようなことなんて何もないんだが」

「あ、俺も特にないッス」

「は?」

「さっきも言ったように、アンタには惹かれる何かを感じただけで、話のネタは特には用意していないッス」


 そもそも、またこうして会えるとは思っていなかったし……。

 桐生さんは小さく溜め息を漏らすと、また目を逸らした。どうやら呆れさせてしまったようだ。


「えっ……と、じゃあ、片想いの彼女さん!片想いの彼女さんとはどうなったんッスか?」


 女性もののブランドを扱う店で買った服は、無事に片想いの彼女さんに渡せたのだろうか?


「……別に、お前にわざわざ言う必要はないだろう?」

「まぁ、そうッスけど……。どうなったのか気になるんで……」


 桐生さんは少し黙り込んだあと、口を開けた。


「……渡したよ」

「おっ、受け取ってもらえたんッスね!よかったじゃないッスか!」

「……ああ。……だが、彼女は最初から俺を見ていない」


 え?どういうことだ?


「彼女には好きな人がいて……その彼のことを大切に想っている」

「マジっすか!悲しいッスね」


 俺がそう言うと、桐生さんは俺をギロリと睨んだ。

 ……なんだ……?怒っているのか?俺、今変なことを言ったか?
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