純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 ……ずるいよ。

 洋佑が私のことを捜している、心配しているって聞かされたあとに、「やめておけ」だの「忘れろ」だの……出来るわけがないじゃないか。


「篠原さん」

「?」

「君のことを愛してしまって、本当にすまない」


 人が人を愛することに間違いなどないのに、あなたはまた、本来なら必要のない謝罪の言葉を……そうやって口にするのね。


「俺の傍にいてくれ」

「……」

「俺が絶対、篠原さんを守るから」


 私を見つめる慈しむような瞳は、もうこの世にはいない春香さんにではなく、真っ直ぐに私へと向けられていた。

 私は俯くことで、自分の視界から桐生さんの姿を消した。そして口を開き、ゆっくりと自分の思いを話し出す。


「……私は、私をこの部屋に閉じ込めて行動を縛る、桐生さんのことが嫌いです。憎いです」

「……」

「──でも、」


 顔を上げて、桐生さんの目を真っ直ぐに見つめた。


「桐生さんは、優しい。私の身体が目当てなら、無理矢理にでも押し倒せばいいし、暴力を振るえばいい。それなのに、桐生さんはそんなことはしない。どうしてっ? 優し過ぎるよ……!」

「そんな乱暴なことはしたくないし、絶対にしない」
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