純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「あ、ありがとう……ございます」


 とりあえずお礼を言うと、桐生さんは私に背を向け、おもむろに服を脱ぎ出した。それを見て、私は慌てて目を逸らす。

 ……着替えているだけ。そう、桐生さんはただ着替えているだけ。けれど、やっぱり気になってしまって、私はちらっと桐生さんの方を向いた。


「──っ!!!」


 引き締まった身体。白くて綺麗な肌。鍛えていた日もあったのか、腕には程よい形の筋肉。

 ……見なきゃよかった。

 ……だって、かっこいい。


「それじゃ、俺はアルバイトに行く」


 私服に着替え、鞄を持った桐生さんは、私の方を見てそう言う。


「き、桐生……さん」

「ん?」

「……いってらっしゃい」

「……。いってきます」


 驚いた顔をした桐生さんは、すぐに嬉しそうに微笑むと、アルバイトのために喫茶店に向かった。

 バタンッと、玄関の扉の虚しく閉まる音が鳴ったのが聞こえた。私はベッドの上に大の字で寝転がり、真っ白い天井を見つめる。

 考えてみれば、私は桐生さんと出会ってから、まだ2週間も経っていないんだ。とても長く感じるのに、数字で表してみるととても短い。
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