純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 私の身体はビクッと大きく跳ねて、サンドイッチに伸ばしていた手を引っ込めて玄関の方を向く。


「里桜……いるんだろ?」

「──っ?!!」


 玄関の扉の向こうから聴こえたのは、紛れも無い、本田洋佑の声だった。


「よう……すけ?」

「なぁ……? いるんだろ? 里桜」


 どうして洋佑がここにいるの?学校は?休んだの?どうして?どうして、どうしてここに……?

 どういう経由で洋佑がここにいるのかは分からないけれど、聴こえるこの声は洋佑で。嬉しくて。すぐに大きな声をだそうとした。

 ──けれど、私がここから出たら、桐生さんはどうなるの……?

 そう思ったら、声が出なくなった。

 洋佑は私を助けに来たんだ。だから、ここにいるんだ。

 でも、私がここを出たら、桐生さんは警察に逮捕されてしまう。そうなったらもう、私は桐生さんに会えなくなる。おそらく……一生。

 それに、もしかしたら、桐生さんが私の周りの人に危害を加えに、やって来るかもしれない。

 どうしたらいいの?どうしたらいいの?どうしたらいいの?──頭の中がグルグルと回転して、けれど何も浮かばなくて、やがて真っ白になる。
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