純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「……おれは……しなない……。しのはらさんが……“いきろ”と……のぞむ、かぎり……」

「……桐生さん……」


 そんなに傷だらけで、今にも死にそうで、それなのに「死なない」なんて……どうして、言い切れるの?

 私が望む限り生き続ける?人間はいつ死ぬか分からないんだよ?私がそう望んでも、死んじゃう時は死んじゃうんだよ?だって人間なんだもの。

 死なないだなんて、そんなのっ、分からないじゃない……っ!


「いつになるかは……わからない……けど、かならず……しのはらさんを……まもりに、いく……」

「……」


 桐生さんの声は小さく、そして弱々しくなっていって、私は必死に両耳に全神経を集中させてその言葉を聞いた。


「しのはらさんが……いいたいことは……そのときに……きく……」


 だんだんとか細くなっていく桐生さんの声。

 かつて眼球のあった窪みを隠すように覆われた包帯は、雨に濡れてか少し解けており、透けてもいた。透けたその先に見えるのは、闇よりも深い“黒”。

 それは、春香さんを守れなかった自らに与えた罰でもあり、他に愛する人が出来た時、その愛する人を守ると決意した誓いの証──。
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