純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「……っ?!」


 私の方を向いている鈴木くんの後ろに、誰か……いる。鈴木くんの肩に手を置いている誰かは、少し覗かせている袖を見る限り、黒い服を着ているようだ。

 辺りは暗くなってきていて、この道には電灯の数が少ないこともあるせいか、断定は出来ないけれども……。

 黒っぽい服を着ている人は、この辺りを見回りしている警察の人だろうか?私は、助かったのだろうか……?


「彼女から離れろ」

「っ!!!」


 私は、自分の耳を疑った。

 大切に想う人の声って、どれだけの時間が経っても分かるものなんだね。その声の持ち主が誰であるのか、分かるように出来てあるんだね。

 声を聴いた瞬間、自分の意思とは関係なく勝手に涙が溢れてきて、視界がぼんやりと歪んだ。


「なに?お前。これは僕と彼女の問題なんだよ。邪魔しないでくれる?」

「聞こえなかったのか?彼女から離れろと言ったんだ。もちろん、触れようだなんて思わないことだな」

「ハァ?何を言って…」

「失せろ」


 冷たい声。怒っている声。

 あの日……初めて一緒に碧の森に来店した時、司さんに言い寄られた時のことを昨日のように思い出した。
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