純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

　釈放された一夜さんは、喫茶店・“碧の森”で働き出した。オーナーも司さんも快く受け入れてくれて、その際に改めて私を紹介してくれたため、こうして名前を呼んでくれる。


「そんなに急いでどうし……えっ？！」


　司さんの姿を見た途端、私の目から涙がぼろぼろと溢れ出てきた。そんな私を見た司さんは、ギョッと両目を見開いて驚いている。


「ど、どうしたのっ？里桜ちゃん！あ……コ、ココア！ココアを飲んでいきなよ！俺のおごりでさ！」


　肩を掴まれ、私は強引に喫茶店・“碧の森”の中へと連れ込まれた。

　どうして仕事中のはずの一夜さんが、人通りの多い場所に見知らぬ女性といたのかも気になるけれど、ここは一夜さんの仕事場でもあるので、早く立ち去りたいのだが……。

　しかし、カウンターで私のためにココアをいれてくれている司さんを見ていると、そんなことを言って立ち去るだなんて出来るはずもなく……仕方なく、大人しく席に腰掛ける私。

　相変わらず……と言ったら悪いけれど、客の姿はなく、マスターの姿さえ見当たらない。奥で休憩しているのだろうか。

　ちらりと時計を見ると、今がちょうど昼休みの時間であることが判明した。……一夜さんが外に出掛けている理由が分かった。