純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「ココア、用意出来たよ」


 しばらくすると、司さんがカップに注いだココアを持ってきてくれた。私はお礼の意味をこめて頭を下げ、そのココアを受け取って一口飲む。……少し、ホッと落ち着いたような気がした。

 ……なんだろう。なんていうか、こう……改めてこうやって司さんを見ていると、5年前に比べてずいぶんと雰囲気が変わったように思う。

 相変わらずの金髪でピアスもつけていて、5年前は“いかにも”なチャラ男だったけど、でも……口調や態度が落ち着いたというか、全体的に大人びなような感じが…――。


「そんなに見つめちゃって……里桜ちゃん、俺にみとれちゃった?」

「ひうっ?!」


 にこっと微笑んだ司さんの顔がグイッと近付いてきて、私は通常じゃ出さないような変な声を発してしまった。

 ――って、かお、顔!近いんですが!


「違います!」


 キッパリと断言した。

 ……いつもなら「ざんねん」とか言って、おちゃらけた感じで離れていくのに、今回は離れていかず、むしろ私の顔をじっと見つめて……って、だから顔が近いんですが!


「あ、あの、司さ…」

「――里桜ちゃん」


 普段じゃ聞かない司さんの低い声。
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