純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 表情はいつになく真剣そのもので、真っ直ぐに私を見つめるその瞳から目が逸らせない……。

 いつもと違う司さんの雰囲気に、私はどうしたらいいのか分からず、身体が全く動かせないでいた。

 さらりと髪を撫でられ、身体がビクッと震えて思わず目をつむる。

 もう一度目を開けた時、司さんの顔はさらに近付いてきていて、そっと私の左耳に口が近寄る。


「……俺にしなよ」


 そして、そう囁かれた。


「え……」

「桐生センパイなんてやめて、俺にしなよ。……俺なら、里桜ちゃんを絶対に泣かせなんかしないから。悲しませなんかしないから」


 ……司さんは分かっていたんだ。

 私が全力で走って、司さんを見た途端に泣き出したその理由を。すぐに“一夜さんとの間で何かあったんだ”って、分かっていたんだ。

 寄せられていた口は私の左耳から遠ざかっていき、再び見つめ合うような形になる。


「俺、本気だから。一目見た時から、君を俺のモノにしたいって思っていた。だから、本気だから」


 あまりにも真剣な表情をしている司さんを見て、このままじゃダメだと思った私は、「司さんの想いは受け取れません」ってキッパリと言おうと口を開く。
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