純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 一夜さんはそんなことはしないって分かってはいるけれど、やっぱり不安なものは不安なんだ……!

 “もしも”のことがあるのなら、それを考えるだけで嫌なんだ、私は。

 だんまりを決め込む私を、一夜さんは何も言わず、ただじっと見つめている。このままじゃ拉致があかないのは確かだけれど……でも、言えない。

 唇を噛み締めて、泣いてしまいそうなのを必死に堪える。すると一夜さんは、「そんなことをしたら痛いだろ」と言って、自らの指を私の口に中にいれた。


「っ?!」

「自分を傷付けるぐらいなら、俺を傷付けろ。里桜の気の済むまで噛み締めていていいから」


 そう言った一夜さんはすごく穏やかな表情で、私はその表情を見た途端、自分の意思とは関係なしに、勝手に涙がぼろぼろと溢れ出て来るのが分かった。

 口の中にいれられた一夜さんの指を遠ざけ、謝る。何度も謝る。

 一夜さんが浮気なんてしないこと、最初から分かっていたのに。それを信じてあげられないでいただなんて、バカだ。私はバカだ……!


「ごめんなさい……一夜さんっ、ごめんなさ……っ!ごめんなさいっ!」

「なぜ、里桜が謝る?」

「私、私……っ!」


 泣きながらも、私はさっきまでの出来事をすべて話した。
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