純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 でも、私は――。


「キス、したいです……」


 私が言うと一夜さんは再び目を見開き、そしてゆっくりとため息を吐いた。

 もしかして、呆れられた?不安が胸を過ぎる。しかし、一夜さんは真顔になり、こう聞いてきたんだ。


「……いいのか?」

「っ?!」


 「何が?」と聞き返す前に、一夜さんは横になっている私の顔の横に自らの腕を置き、鼻と鼻がくっつきそうなくらいに、ぐいっと顔を近付けてきた。

 一夜さんの綺麗で整った顔が、すぐ目の前にある。突然のことに、熱に浮かされた頭が真っ白になる。


「しても、いいのか?」


 ちょっと待って……!一夜さん、かっこよすぎるんですが……!心臓がバクバクとうるさいんですか……っ!


「あ……っわ、わ、私は……。…………一夜さんと、し、したい、んです……」


 かっこよすぎる顔に堪えられず、私は視線を逸らしながら言った。

 すると一夜さんは、いつもは聴かないような色っぽい声で「里桜……」と、私の名前を呼ぶ。

 おそるおそる、逸らしていた目を一夜さんに向けると、一夜さんとの距離がどんどんと近くなっていって――自分の唇に、一夜さんの冷たいそれとが重なる。
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