純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「おにーさん。キミはもう、人外でしょ?」

「……なに?」

「金属バットで殴られたり、ナイフで刺されているのに生きているキミみたいな人のどこが……人外じゃないっていえるの? おにーさん、十分に人外だと思うんだケドなー」

「!」


 この子供、本田洋佑とのあの場面を見ていたというのか? 里桜を守っていたあの雨の日の場面を、見ていたというのか?

 おかしい。だって、あの場所には俺と里桜と本田洋佑の3人しかいなかったはずだ。仮にこの子供があの場にいたのだとして、ずっと見ていた〝だけ〟だというのか……?

 いや、あれは約5年も前のこと……。この子供だって幼かっただろう。恐怖で動けずに見ていること〝しか〟出来なかったというのなら、別にこれといった問題はないのだが。

 ──この子供が、一般的な家庭の〝普通〟の子供なら……の、話だが。


「……で、要は何が言いたい?」

「そうだねぇ……。おにーさんは僕の姿を見ておきながら、僕の存在を知っておきながら、死神になることを拒んだ。僕としては、そんな人間を生かすわけにはいかないんだよねぇ?」

「……俺を殺すのか?」


 やはり、この子供は〝普通〟の人間ではないのか。人間の形をした化け物なのかもしれない。いや、もしかしたら本当に死神という生物なのかもしれない。

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