純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「うん!残念だけど、そういうことになるね!というわけで──死ね」
にこっと微笑んでいた子供は一瞬で身に殺気を纏い、鎌を身構えて俺のもとへと駆け寄ってきた。
不思議と、先程まで感じていたはずの恐怖を、今はそこまで感じていない。
俺は避けることはせず、かわりにココアのはいったカップを子供に向かって差し出した。本当はこれは里桜にあげようと思っていたのだが、こうなってしまった以上、仕方がない。
子供は差し出されたココアのはいったカップを見て、その動きをとめた。じぃーと睨むようにカップを見つめ、やがて、俺の方を見上げる。
「なに? これ」
「ココアだ」
「いや、そうじゃなくってさ。……その、僕が人間の飲み物であるココアを口にするとでも?」
「さぁ? でも、少なからず、飲んだ方がいいと思っただけだ。落ち着くだろう」
現に、里桜はいつもココアを飲んで心を落ち着かせているようだった。
「……はぁ」
子供は重い溜め息を吐き、鎌を握った手はそのままに、再びベランダの方へ歩き出す。
「もう、いいや。おにーさん、怖がってくれないし、つまらない!今回は優しい優しーいこの僕が、キミを殺さないでいてあげる」