純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
さっき、存在が知られたらマズイから殺す……のような発言をしていなかったか? この子供。いいのだろうか? 殺さなくて。いや、殺さないなら殺さないで好都合ではあるのだが。
「そうか。それなら、気をつけて家に帰れよ」
「──そのかわり、キミの1番大切な篠原里桜を殺してあげる……っ!!!」
「なっ?!」
子供はニヤリと残酷な笑みを浮かべて、俺の方を向いていた。
子供の口から出てきた里桜の名前と、〝殺す〟という物騒な単語に、思わず自分の耳を疑う。
里桜を……殺す?
俺の身体の体温が、サァーッと引いていっているような気がした。
「……分かった」
以前までの俺なら、本田洋佑との修羅場の時のように、目の前の子供を傷付けていたかもしれない。
でも、違う。今は違う。もう、誰かを傷付けるようなことはしたくない。里桜を待たせたり、泣かせるようなことはしたくない。だから──。
「──お前の気が済むまで、〝俺〟を好きなようにすればいい」
自分の犠牲を選ぶ。
……こんなことをしても、おそらく里桜は泣くだろうな。何をしても里桜を泣かせてしまうのなら、俺は、里桜が1番傷付かないこの方法を選ぶ。
里桜に一切の犠牲が伴わない、俺だけが傷付く、この方法を……。