純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
今さっきまでテレビに夢中だったというのに、藤井の出番が終わればもうテレビなんて用済みってか?
「どうした?」
抱き着かれたことに関してはもう死んでもいいと思えるほどに嬉しいし、里桜に対する愛しさがとまらなくて困ったものではあったが、自分の中のどす黒い感情に気付かれないよう、いつもの調子で優しく問い掛ける。
「いや、です……」
「ん?」
イヤ?
里桜の嫌がるようなことをした覚えは無いのだが、俺は無意識のうちにしてしまっていたのだろうか……?
過去の自分の行動を思い返していると、里桜はぽつりぽつりと話し出す。
「ごめんなさい……。さっきから、テレビに映っている人ばかり見ているものだから、その、ちょっと、嫌だな……って思っちゃって……」
「……えっ」
これは……もしかしなくても、里桜は嫉妬している……?さしずめ、俺が女優の姿ばかりを見ていて、それが嫌だと……言ってくれている?
里桜が素直に妬いてくれていることが嬉しい。
それを包み隠さず俺に言ってくれることが嬉しい。
むしろ、俺の方が、彼女は藤井とか言う俳優をずっと見ているんじゃないかと思っていたくらいなのに、それが違うのだと分かるといたたまれない気持ちになる。
馬鹿だな、俺は。