純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 目をぱちくりさせ、何が起こったのか分からないという表情を浮かべる里桜。それさえも愛しい。


「え、あの、一夜さん……?」

「里桜」


 いつもより低い声で、静かに名前を呼ぶと、彼女の頬がほんのりと赤く染まった。

 そんな彼女もかわいいなと思いながら、そっと里桜の耳に自分の口元を近付ける。そして……。


「どんなイタズラをしてくれるんだ?」


 期待をこめたような声で問うたつもりだったが、もしかしたら彼女には違う意味に聞こえたのかもしれない。里桜の頬は一気に真っ赤に染まり、口をパクパクと動かしていた。しかも、「なっ……えっ……あっ……」なんて、かなりテンパっているような様子だ。

 覗き込むようにして彼女の目を見つめると、落ち着きなくキョロキョロと動き回っていた。気恥ずかしさから目が合わせられない、といったところだろうか。


「りーお」


 優しく、名前を呼ぶと、里桜は唸るようにくぐもった声を出しながら、両手で自分の顔を覆い隠した。


「〜〜っ!!!」


 両手の指の間から見える耳が、赤く染まっているのが見えた。


「も、もう、限界です……!」

「?」

「一夜さん、かっこいいし、なんだか恥ずかしくて、もうだめです……っ!!!」


 里桜の顔からは湯気が出そうな勢いだ。思わず笑みがこぼれる。こんなかわいらしい里桜が見れるのなら、ハロウィンも悪くないと思ったのは……──ここだけの話だ。


【了】
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