純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 いっ……いきなり、彼は何を言い出すのっ?!

 どう反応したらいいのか分からないでいる私を見て、桐生さんは、まるで愛おしいものを見るかのように目を細める。


「どんな篠原さんでも……俺はかわいいと思う」

「なっ……なっ?!あ……あなたに言われても、きっ……き、気持ち悪い、だけですからっ!」

「……それは、照れ隠しか?」

「違いますっ!」

「じゃあ、照れているんだな」

「はぁっ?!」


 何をどう取ったらそうなるんだ……?!照れ隠しはおろか、照れてさえもいない……と思う、のに。

 改めて桐生さんがおかしな人だということを思い知った。

 この人……アルバイトはちゃんとやっていけているの?よくクビにならずに、アルバイトを続けていられるなぁ……。

 桐生一夜というこの男に対して疑問が湧けば、一つ、また一つと絶えずに湧き出て来る。

 今までどんな暮らしをしてきたのか?──とか、家族はいるのか?いるなら、どんな人なんだろう?──とか、友達はちゃんといるのか?──とか。

 ……桐生さんと付き合っていた今までの人たちも、私と同じように監禁してきたのか?──とか。

 もし、今まで付き合ってきた人たちを監禁していたとするならば、その人たちは今頃、どうしているのだろう……?

 桐生さんは私を殺さない、守るとか言っていたけれど、本当は殺す気なんじゃないのか……とか。

 とにかく、様々な疑問が思い浮かんでは消えて、思い浮かんでは消えて……。

 いくら考えたところで無駄なのは分かっているから、頭を軽く左右に振って考えを断ち切った。
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