純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 いつ来るのか分からない警察の到着を待っていたって、自力でここから逃げだそうと足掻いたって、それ以前に、怖いんだ。

 桐生さんに何をされるのかが分からないから、桐生さん自身の存在が怖いから、大切な人に会えないから、ここから出たいから――涙が、とまらない。


「しのは…」

「いやぁっ!!!」


 こちらに駆け寄ろうとしてきた桐生さんに、制止の言葉を吐き出す。けれど、桐生さんはとまらず、どんどんと私に近付いて来る。


「来ないで……いやぁ……っ!」


 ──私は、弱い。

 プライドとか、汚い泣き顔とかどうでもよくなるくらい、今の状況が怖くて怖くて仕方がないのだから。

 あはは。むしろ、今まで平然と装えていた私自身に拍手……だね。


「篠原さん……聞いて」


 このまま大きな声で泣きじゃくっていたら、それを聞き付けた誰かが助けてくれるかもしれない……だなんて、頭の隅で愚かなことを考える。

 どうせ、私の泣き声を聞いたって、恋愛関係のほつれなんだろう……って、助けになんてこないんだろうな。


「篠原さん……」


 桐生さんはベッドの上に片手をつき、もう片方の手で私の頭に向かって手を伸ばしてきた。

 叩かれる?殴られる?殺される?襲われる?……分からない。

 分からないからこそ恐怖が最高潮に。恐怖のあまりに頭の中が混乱して、パニックに陥る。
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