純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 ……結局、里桜は家に帰ってこなかった。

 警察の人達は誘拐事件として里桜の行方を捜してくれているが、情報は何1つとして得られない。明日も引き続き行方を捜すと言ってくれている。

 高校では、教師の口から里桜が誘拐されたことを告げられた。

 生徒たちは、「怖い」だの「早く見付かれば良い」だの「家出かもしれない」だの……人の気も知らないで、好き勝手に言っている奴らがたくさんいた。

 中には「本田くん、大丈夫?」と、俺と里桜の関係を知っている人たちから心配の声がかけられたが……。

 彼女が誘拐された彼氏は、どんな気分なんだろう?どんな反応をしているんだろう?……と、好奇心に塗れた奴らの方が圧倒的に多い。

 教室にいようが廊下にいようが、校内にいる間はずっとそんな奴らの視線を感じていて……胸糞悪いどころではない。

 変な話や噂を持ち上げるんじゃねぇ……と、俺は片っ端から睨みをきかせていた。

 里桜は決して家出をするような人じゃない。だから、里桜の悪口はこの俺が許さない……っ!



 ──時は流れて、放課後。

 姿の見えない里桜のことで頭がいっぱいのはずなのに、どこか惹かれる人を発見した俺は、足を止めた。

 女性用のブランドの衣類を扱う店に、男性が1人……店内を歩き回っていた。店員?いや、あれは客だろう。
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